経営者に必要なスキル「経営者になるためのノート」(柳井正)
「経営者になるためのノート」(柳井正)
本書は、ファーストリテイリングの店長以上の教育で使用されている柳井社長の秘伝の書が公開されたものです。経営者や経営リーダーを目指す方が経営の視点で物事を考えるきっかけになる、魅力満載の書籍になっています。
「ノート」とタイトルに記されている通り、見開きのページの中央に本文、周囲に罫線があり、自分でどんどんんと書き込んで、世界で一つでだけの自分専用の経営者ノートにすることが可能になっています。
私が大切だと思った部分を本書より抜粋しています。
Part1 「経営者とは」&「変革する力ーイノベーター」
◆経営者とは
・経営者とは「成果をあげる人」
・成果とは、「約束したこと」
・やると宣言したことを実現する事に固執し、それを何としてでもやり遂げるようにする。それが経営者の役割
・約束したことを成果としてあげてはじめて、顧客、社会、株式上場、従業員から信頼されて、会社は存在し続ける
・自分たちがやると約束する成果を考えるにあたって、一番大切な事は社会における自分たちの存在意義、つまり使命を考える事。
・会社の使命と成果が結びついていること。それが経営の原則。
・経営者として尊敬される人は、使命感を持ち、その使命の実現近づく道程として、その時その時の、目指すべき姿や、やるべきことを約束として宣言し、それを成果として実現させてきた。そして、その実現を通じて、実際に社会に役立つ企業を作ったからに他ならない。
・経営者に必要な四つの力
1.「変革する力」 -イノベーター
2.「儲ける力」 ー商売人
3.「チームを作る力」 -リーダー
4.「理想を追求する力」-使命感に生きるもの
・大企業では、本物の経営者を育成することが困難
・取引先との付き合い方、部下との付き合い方、お金の使い方、
そういったものが大企業のサラリーマン的な対処の仕方になりかねないから。
1.「変革する力」-イノベーター
①目標を高く持つー非常識と思えるほどの目標を掲げるー
・既存の延長戦の発想ではできないことに自らを追い込む
EX, ・ファーストリテイリング
ー郊外型で成功した企業が都心に店を出して商売をする
日本のパイオニア的存在
ー改札口を通り抜けた駅構内で洋服が買える。
・「終わりから始めなさい!なぜならば、ゴール設定をすれば『成功する為にすべきこと』が明らかになるからだ」(「プロフェッショナルマネージャー・ノート」の著者ハロルド・ジェニーン)
・高い目標を掲げ、それに挑戦する。このことからイノベーションは起き、顧客は想像されるもの
②常識を疑う。常識にとらわれない
・常識が会社の進化を妨げる
・お客様からしたら意味のないこと、お客様からしたら不便のかけてまうこと、これが、業界や会社や事業の人たちが「常識」と言っていることだったりする。
・「業界は過去、顧客が未来、ライバルなく顧客に集中する。
EX, セブンイレブン「夏のおでん」「冬のアイスクリーム」
暖冷房の生活環境の変化が要因
・不安に取りつかれないでまずはやってみる
・経営者は「危機感」に基づいて経営をやるべきであって、「不安」にもとづいて経営をやってはいけません。
・いくら悩んでいても結論が出ないこと、コントロールできないことに悩んでいても時間がもったいないだけ。
・大切な事はまずはやってみること
③基準を高く持ち、妥協と諦めをしないで追及する。
・仕事の基準を高く持つ
・商品、サービス、全てのアウトプットの質
・質の基準は「お客様にとって本当に良い」と思えるライン
・お客様は厳しい
Ex, 寿司や百円ショップ
・そして、インターネットの普及により、お客様の購買の質は上がっている
・基準を世界一にする
・高い基準を目指した上での失敗であれば、問題ではない
④リスクを恐れず実行し、失敗したらまた立ち向かう
・安定志向で安定成長している会社はない
・変化に負けず、むしろ、変化を機会にするくらいの気持ちで経営をやっていない限り、お客様に見放され、会社は消えいていく可能性
・挑戦すべきことには、リスクを恐れずに挑戦する。突っ込んでいかなければならないような時には、思い切って挑戦する。
・リスクのあることろにチャンスがある
・「リスクがないところには利益がない。リスクのあところに利益がある。」経営の鉄則
・リスクはしっかり計算すること
・リスクをとった限りは、中途半端にせず、結果が出るまでやりきること
・リスクを取ってやると決めた限りは、そのやると決めたことを脇目も振らず、ただもう一直線に、徹底的に、結果が出るまでやり続けるということ。つまり、やると決めたことの徹底実行。
・一回や二回失敗したくらいで、めげないようにすること。失敗の原因を徹底的に検証
・「失敗の責任を取る」=「本当に失敗だという時は、その原因を徹底的に探究し、学びを得て、次に活かして、結果を出すこと」
⑤厳しく要求し、核心をついた質問をする
・要求、質問をしないと現場の仕事は「作業」になる
・考える力の弱体化が、顧客創造の障害になる
・視野を広げ、可能性を広げてあげる
出してくる答えが顧客の創造の視点から見て足りないのであったら、厳しく要求する。その際に、注意することは、「君だったらできる」というようなことを言ってあげる。そして、最終的な責任は上司が全部取るということを覚悟しておく
⑥自問自答する
・「自分は出来ている」と思わないようにする
過去、市場、将来、などでの出来事を本当にそうなのか?と
・経営者にとって最もまずいことは「自分はできている」と思ってしまうこと
・常に危機感を持って、経営をする
いつも断崖の上を歩いている、ちょっとでも油断があったら、真っ逆さまに落ちてしまうという危機感を持って臨むのが「正常な経営」
自分が考えている以上に自分に対してシビアな見方をしていく
・自問自答する人にだけ、優れたアイデアが生まれる
「天才とは1%のひらめきと、99%の汗である」by エジソン
どれだけいろいろな事を考えて、いろいろな人と話して、そしていろいろやってみて、そこで真剣に自問自答するか。これが大事。
⑦上を目指して学び続ける
・学びに貧欲となれ
「上には上がいる」&「世の中には、今まで起きてないことはないと思う事」
コネクションがない?バンバン連絡を取れ。
「自分はこういうことを考えていて、こうやっていますが、お宅の会社はどうなのでしょうか。情報交換しませんか」ということであれば、結構話に乗ってくれる。
・実行に活かしてこそ、学びの義務がある
知識や情報を「自分のことの置き換えて考えてみること」&「実践してみること」。実行に結びつけないと意味がない、そして実行を通じて学ぶ、このサイクルを創っていく。本を読むときも自分の事としてとらえて、対話しながら読む。
・自分に力をつけて、本物の情報が入るようにする。
・相手からも、あいつは力になってもらえる存在だと認められるようになること。そこから、本物の人とのネットワークが広がり、これがまた、学びに繋がっていくという好循環が生まれる。
今回はこの辺で終わりにします。
次回の2.「儲ける力ー商売人」をお楽しみに。